ステップ 2とステップ 3の計算を終了後、ステップ 2の計算で用いた入力ファイルに次のキーワードを付け加えることにより、透過率と電流が 計算できます。
NEGF.tran.energyrange -10 10 1.0e-3 # default=-10.0 10.0 1.0e-3 (eV) NEGF.tran.energydiv 200 # default=200 NEGF.tran.Kgrid 1 1 # default= 1 1キーワード「NEGF.tran.energyrange」により透過率を計算するエネルギー範囲を指定します。 最初と二番目の数値は、エネルギーの下限値と上限値で、三番目の数値は透過率を滑らかにするための虚数値です。 「NEGF.tran.energyrange」により指定されるエネルギー範囲は、 キーワード「NEGF.tran.energydiv」により指定した数値で分割され、そのエネルギー点上で 透過率が計算されます。 逆格子ベクトル および を離散化するためのk点の数のそれぞれの値を、 キーワード「NEGF.tran.Kgrid」により指定します。 高精度に透過率を計算するために、「NEGF.tran.Kgrid」で与えるk点数を、 「NEGF.scf.Kgrid」で与えるk点数より大きくした方が良いでしょう。
透過率と電流の計算は、プログラムコード「TranMain」により行われます。 「source」ディレクトリにおいて次のようにコンパイルすることで、「TranMain」の実行ファイルが生成されます。
% make TranMainコンパイルに成功すると「TranMain」の実行ファイルが生成されますので、このファイルをユーザーの作業ディレクトリ、 例えば「work」にコピーしてください。「TranMain」を用いて、ステップ 3の計算を次のように実行できます。
%./TranMain NEGF-Chain.dat ******************************************************* ******************************************************* Welcome to TranMain This is a post-processing code of OpenMX to calculate electronic transmission and current. Copyright (C), 2002-2013, H.Kino and T.Ozaki TranMain comes with ABSOLUTELY NO WARRANTY. This is free software, and you are welcome to redistribute it under the constitution of the GNU-GPL. ******************************************************* ******************************************************* Chemical potentials used in the SCF calculation Left lead: -7.752843837400 (eV) Right lead: -7.752843837400 (eV) NEGF.current.energy.step 1.0000e-02 seems to be large for the calculation .... The recommended Tran.current.energy.step is 0.0000e+00 (eV). Parameters for the calculation of the current lower bound: -7.752843837400 (eV) upper bound: -7.752843837400 (eV) energy step: 0.010000000000 (eV) imginary energy 0.001000000000 (eV) number of steps: 0 calculating... myid0= 0 i2= 0 i3= 0 k2= 0.0000 k3= -0.0000 Transmission: files ./negf-chain.tran0_0 Current: file ./negf-chain.current Conductance: file ./negf-chain.conductance
このファイルはアップとダウンのスピン状態に対する透過率を保存します。4番目の列は、左側 リード線部の化学ポテンシャルに対する相対的なエネルギーで、6番目と8番目の列は、それぞれアップとダウンスピン状態に対する透過率です。「NEGF.tran.Kgrid」により与えられるk点の数を多く取ると、ファイル拡張子に「#」と「%」の異なる組を持つファイルが、各k点について生成されます。ファイルの数字とk点との対応はファイル内で見られます。
このファイルには、アップスピン状態とダウンスピン状態に対するk分解された電流およびその平均値がアンペアの単位で保存されています。
このファイルには、アップスピン状態とダウンスピン状態に対する0Kでのk分解されたコンダクタンスとその平均値が 量子化コンダクタンスの単位( )で保存されています。 コンダクタンス は、左電極の化学ポテンシャルでの透過率 に、次のように比例しています。
一例として、ファイル「*.conductance」を用いて作成されたFeMgOFe構造のk分解透過率を図31に示します。