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キーワード「MD.Type」を「NVT_VS」と指定することで、 速度スケーリング法 [17]による
NVTアンサンブル分子動力学シミュレーションが実行可能です。
  
    MD.Type          NVT_VS    # NOMD|Opt|NVE|NVT_VS|NVT_VS2|NVT_NH
このNVT分子動力学では原子運動の温度は、以下のような書式で制御することができます。
   
    <MD.TempControl
      3
      100   2  1000.0  0.0  
      400  10   700.0  0.4  
      700  40   500.0  0.7  
    MD.TempControl>
 この書式の最初の行は「 MD.TempControl」であり、最後の行は「MD.TempControl
MD.TempControl」であり、最後の行は「MD.TempControl 」とする必要があります。
 最初の「3」は温度制御のために必要な行の数です。この場合には、引き続く3行で温度の指定を行っており、最初の列の数字はMDのステップ数を表し、
 2列目の数字は速度スケーリングが行われるMDステップの間隔を与えます。
 この計算例では、速度スケーリングは、MDステップが100回までは2回毎に行われ、MDステップの100回目から400回目までは10回ごとに行われ、
 さらにMDステップ400回から700回では40回ごとに行われます。
 3番目と4番目の列は、それぞれ設定温度
」とする必要があります。
 最初の「3」は温度制御のために必要な行の数です。この場合には、引き続く3行で温度の指定を行っており、最初の列の数字はMDのステップ数を表し、
 2列目の数字は速度スケーリングが行われるMDステップの間隔を与えます。
 この計算例では、速度スケーリングは、MDステップが100回までは2回毎に行われ、MDステップの100回目から400回目までは10回ごとに行われ、
 さらにMDステップ400回から700回では40回ごとに行われます。
 3番目と4番目の列は、それぞれ設定温度 (K)とその区間でのスケーリング・パラメータ
 (K)とその区間でのスケーリング・パラメータ を表します。
 またその区間中における温度は線形補間によって与えられます。
 この例の速度スケーリングでは、速度は次式を用いてスケーリングしています。
  ここで、
を表します。
 またその区間中における温度は線形補間によって与えられます。
 この例の速度スケーリングでは、速度は次式を用いてスケーリングしています。
  ここで、 および
および はそれぞれ設定温度と原子の運動から計算された温度です。
  「NVT_VS」法では、全原子の速度を使って温度を計算します。
  一方、局所温度は「NVT_VS2」では、各原子の速度を用いて評価され、速度スケーリングはその局所温度に基づき行われます。
  「MD.TempControl」で指定された最後のMDステップが終了すると、NVTアンサンブルはNVEアンサンブルに切り替わります。
  各MDステップで計算された数値は、出力ファイル「*.ene」(「*」は「System.Name」を意味します)に記録されます。
  詳細は、「source」ディレクトリ内のファイル「iterout.c」に書かれていますが、いくつかの数値に関して、ここにも示しておきます。
はそれぞれ設定温度と原子の運動から計算された温度です。
  「NVT_VS」法では、全原子の速度を使って温度を計算します。
  一方、局所温度は「NVT_VS2」では、各原子の速度を用いて評価され、速度スケーリングはその局所温度に基づき行われます。
  「MD.TempControl」で指定された最後のMDステップが終了すると、NVTアンサンブルはNVEアンサンブルに切り替わります。
  各MDステップで計算された数値は、出力ファイル「*.ene」(「*」は「System.Name」を意味します)に記録されます。
  詳細は、「source」ディレクトリ内のファイル「iterout.c」に書かれていますが、いくつかの数値に関して、ここにも示しておきます。
  
         1:    MD step
         2:    MD time (fs)
        14:    kinetic energy of nuclear motion, Ukc (Hartree)  
        15:    DFT total energy, Utot (Hartree)  
        16:    Utot + Ukc (Hartree)  
        17:    Fermi energy (Hartree)  
        18:    Given temperature for nuclear motion (K)        
        19:    Calculated temperature for nuclear motion (K)        
        22:    Nose-Hoover Hamiltonian (Hartree)
 
出力ファイル「*.ene」中で、最初の列はMD Step(MDステップ)、2番目の列はMD time(MD時間)等に対応しています。
例として、図10 (a)にグリシン分子の速度スケーリングによるMD計算の結果を示します。
 分子の温度が設定温度の周辺で振動していることがわかります。分子動力学シミュレーションの様子を可視化するには、
 フリーソフトxmakemol [91]やXCrySDen [61]等を用いて、出力ファイル「*.md」を
 簡単にアニメーション化することが可能です。
Figure 10:
(a)速度スケーリングNVT分子動力学によるグリシン分子の設定温度と計算温度の時間変化。
   (b) Nose-Hoover NVT分子動力学によるグリシン分子の設定温度と計算温度の時間変化。
   入力ファイルは、「work」ディレクトリ内のそれぞれ「Gly_VS.dat」および「Gly_NH.dat」。
   
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t-ozaki
2013-12-23