この動径関数は数値の表として与えられ、実空間のカットオフ半径内で有限な関数です。つまり関数は所定のカットオフ半径を超えるとゼロになります。 ADPACKにより計算されたPAO関数はプリミティブ関数と呼ばれます。このプリミティブPAO関数を出発点として、OpenMXの軌道最適化法を用いて 最適化されたPAO関数を得ることが可能です [30]。これらの基底関数に関するデータはファイル拡張子「pao」を持ったファイルに保存されています。 OpenMXの計算が実行される際には、これらのファイルに保存されている数値データが読み込まれています。任意の動径距離に対するPAO関数の値は補間法により 得られます。ファイル拡張子「pao」を持ったファイルは、例えば「DFT_DATA13/PAO」などのディレクトリに保存して下さい。このディレクトリは以下のキーワードにより 指定します。ただしディレクトリ名中に「PAO」を含める必要はありません。
DATA.PATH ../DFT_DATA13 # default=../DFT_DATA13絶対および相対パスの指定が可能であり、デフォルトは「../DFT_DATA13」となっています。 OpenMXの入力ファイルにおいて、基底関数は以下のように「Definition.of.Atomic.Species」キーワードにより 指定されます。
<Definition.of.Atomic.Species H H5.0-s2p1 H_PBE13 C C5.0-s2p1 C_PBE13 Definition.of.Atomic.Species>ここで基底関数の略語記号、H5.0-s2p1を導入します。H5.0はPAO関数の拡張子なしのファイル名を表します。 このファイルはキーワード「DATA.PATH」により指定された「DFT_DATA13/PAO」などのディレクトリに存在しなければなりません。 5.0はPAO関数のカットオフ半径を意味します。またs2p1は指定されたファイル中での二つの動径関数と一つの動径関数がs-軌道、 p-軌道にそれぞれ割り当てられることを意味します。 この場合、合計5つのPAO基底関数(21+13=5)が「H」に対して割り当てられます。
OpenMXのWebサイト(http://www.openmx-square.org/)では最適化基底関数のデータベースVer. 2013が無償公開されています。 従って一般のユーザーはこれらの最適化された基底関数を使用することが推奨されます。 しかし上級者のために、プリミティブおよび最適化PAO関数について、続く節で説明します。