作成した擬ポテンシャルの可搬性を確認するための有効な方法は、波動関数の対数微分を比較することです [16]。 広範囲のエネルギー領域で、擬ポテンシャルの対数微分が全電子計算の擬ポテンシャルと良く一致していれば、 擬ポテンシャルの可搬性は一般に高いと考えられます。 図4に炭素原子に対する対数微分の比較を示します。擬ポテンシャルに対する対数微分は全電子計算のそれと良く一致しており、 擬ポテンシャルの良好な可搬性を示唆しています。 対数微分の計算に関係したキーワードを以下に列挙します。
キーワード「calc.type」で「VPS」を指定した際に、全電子ポテンシャル、半局所的擬ポテンシャル、分離型擬ポテンシャルの
動径波動関数の対数微分を計算する場合には、キーワード「log.deri.RadF.calc」を「ON」に指定して下さい。
計算しない場合には「OFF」を指定して下さい。
計算された対数微分はファイル「*.1d0」、 「*.1d1」、……、に出力されます。
ここで、「*」はユーザーが指定した「System.Name」であり、ファイル拡張子「ld」に付随した数字は、軌道角運動量量子数です。
キーワード「eq.type」を「dirac」と指定し、完全な相対論的計算を行う場合には、ファイル名は「*.ld%_#」となります。
ここで、%については、とに対応する、0または1となります。
これらのファイル中で、1列目はエネルギーが、2列目()、3列目()、4列目()は、それぞれ全電子ポテンシャル、
半局所的非分離型擬ポテンシャル、分離型擬ポテンシャルの動径波動関数の対数微分が出力されています。
対数微分のこれらのファイルへ出力に加え、分離型擬ポテンシャルの可搬性を判別するための量、が
次式によって評価されます。
キーワード「calc.type」で「VPS」を指定し、さらにキーワード「log.deri.RadF.calc」が「ON」の場合には、 キーワード「log.deri.MinE」は動径波動関数の対数微分の計算に使用するエネルギーの下限 (Hartree)を与えます。
キーワード「calc.type」で「VPS」を指定し、さらにキーワード「log.deri.RadF.calc」が「ON」の場合には、 キーワード「log.deri.MaxE」は動径波動関数の対数微分の計算に使用するエネルギーの上限 (Hartree)を与えます。
キーワード「calc.type」で「VPS」を指定し、さらにキーワード「log.deri.RadF.calc」が「ON」の場合には、 キーワード「log.deri.R」によって、動径波動関数の対数微分を計算をする半径(a.u.)を指定します。 「eq.type」で「sch」または「sdirac」を指定した場合には、キーワード「log.deri.R」によって、 それぞれの軌道角運動量量子数に対して以下の様に半径を指定します。
<log.deri.R 0 2.2 1 2.4 log.deri.R>記述の最初は、「log.deri.R」で始まり最後は「log.deri.R 」でなければなりません。 1列目は角運動量の量子数で、2列目の数字は動径波動関数の対数微分を計算する半径です。 「eq.type」で「dirac」を指定した場合には、 それぞれの軌道角運動量量子数に対して以下の様に半径を指定します。
<log.deri.R 0 2.0 1.9 1 2.0 2.1 log.deri.R>ここで2列目と3列目は、それぞれ、および の動径波動関数の対数微分を計算する半径を指定します。