プログラムパッケージ OpenMXでは、プリミティブ基底関数としてADPACKで生成された擬原子軌道を使用します。 擬原子軌道は次の方法により作成されます。 まず閉じ込めポテンシャル下で全電子計算を実行し、次に閉じ込めポテンシャル下での擬ポテンシャルを作成します。 最後に閉じ込め擬ポテンシャルに対する固有状態を基底状態から必要な励起状態まで数値的に計算します。 これが擬原子軌道と呼ばれるものになります。閉じ込めポテンシャル下での固有状態であることから、 閉じ込めポテンシャルのカットオフ半径内でのみ有限であり、その外側では厳密にゼロとなります。
炭素原子を例として、擬原子軌道の作成方法に関して以下に説明します。 ファイル「C.inp」中でキーワード「calc.type」を「PAO」に指定して下さい。 そして次のように、adpackを実行して下さい。
% adpack C.inp計算が正常に終了すると、「work」ディレクトリにファイル「C0.pao」が作成されます。 ファイル「C0.pao」には、価電子密度と擬原子軌道の動径関数が出力されます。 ユーザーの備忘録として、このファイルには入力ファイルの内容と全電子SCF計算結果も保存されています。 価電子密度はlog(r)、r、価電子密度の順で保存され、また擬原子軌道の動径関数はlog(r)、r、動径部分 1、 動径部分 2、…の順で保存されています。図4にs軌道に対する閉じ込めポテンシャルと擬原子軌道を示します。 閉じ込めポテンシャルのために擬原子軌道は局在しており、 また固有値の増大とともにノードの数が増えていくことが分かります。 閉じ込めポテンシャルは、次のように内殻ポテンシャルを変形することで与えられます。