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有限要素法による計算

Vosko、Wilk、NusairによるLDA法 [2]とHartree-Fock法の全電子計算に対して、 有限要素法(FEM)[20]による高精度計算が可能です。 計算では、Schrödinger方程式を解く際に、球状電荷分布と球状ポテンシャルが仮定されます。 またFEM計算では、Dirac方程式はサポートされていません。 FEM計算には特に次のキーワードが関係します。

calc.type
有限要素法(FEM)を使った全電子LDA計算とHF計算[11]では、 それぞれ「ALLFEM (FEMLDA)」と「FEMFH」を指定して下さい。 開発途上の経緯のため、「ALLFEM」と「FEMLDA」の2つのキーワードは互いに同等のものです。

grid.xmax
FEM計算では、動径グリッドはx座標上で等間隔に生成されます。 ここで動径座標$r$$x$の関係は、$r=x^2$となります。 $x$の上限値はキーワード「grid.xmax」で指定します。また$x$の下限値は常にゼロに設定されます。 $r$の単位はa.u.です。 $x$の定義がADPACKの通常の計算とは異っていますので注意して下さい。

その他のキーワードの役割は、通常の全電子計算の場合と同様です。 またFEM法で実行された全電子計算の結果はデータベースとしてまとめられており、 http://www.openmx-square.org/miscellaneous.html で閲覧可能です。 データベースでは、計算結果と計算に使用された入力ファイルが提供されています。 またビリアル定理 [21]に基づき、全エネルギーの絶対誤差が推定されています。 それによれば周期表の全元素に対して、FEM法に基づくLDA計算およびHF計算の誤差は それぞれナノHartreeおよびマイクロHartree以下となっています。



t-ozaki 2014-01-09