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ノンコリニアスピン方位に対する制約条件付きDFT

ノンコリニアDFT法において任意のスピン方位を持つ電子構造を計算するために、OpenMX Ver. 3.7では制約条件付きDFT法が利用可能です。 制約条件付きDFT法では、スピン方位と初期スピン方位の差がゼロで無い限り系のエネルギーにペナルティーを与える汎関数が付加されます [11]。 ノンコリニアスピン方位に対する制約条件付きDFT法は次のキーワードで利用できます。

     scf.Constraint.NC.Spin       on      # on|off, default=off
     scf.Constraint.NC.Spin.v    0.5      # default=0.0(eV)
キーワード「scf.Constraint.NC.Spin」のスイッチをオンにし、 また制約の強さを決定するキーワード
「scf.Constraint.NC.Spin.v」によってその大きさを指定すれば、 スピン方位に対する制約条件付き汎関数が付加されます。 制約条件は次のようにスイッチを指定する事で、各原子に適用されます。
  <Atoms.SpeciesAndCoordinates           
     1   Cr    0.00000   0.00000   0.00000  7.0  5.0 -20.0 0.0  1  off
     2   Cr    0.00000   2.00000   0.00000  7.0  5.0  20.0 0.0  1  off
  Atoms.SpeciesAndCoordinates>
第10列の「1」は制約有り、「0」は無しを意味しています。この方法はスピンの方位だけに制約条件を導入し、 スピンの大きさには制約を課しません。 また、この制約法は「LDA+U」の章で説明したLDA+U計算と同時に適用することが可能です。 実例として、2つの局所スピン間の相対角に対するクロム2量体の全エネルギーと磁気モーメントの依存性を図28に示します。 この計算は「work」ディレクトリ中の入力ファイル「Cr2_CNC.dat」を用いて再現できます。


Figure 28: クロム2量体の全エネルギーとCr原子サイトの磁気モーメント。結合距離は2.0 Å。 入力ファイルは「work」ディレクトリ中の「Cr2_CNC.dat」。
\begin{figure}\begin{center}
\epsfig{file=cr2_rot2.eps,width=10.0cm}
\end{center}
\end{figure}



t-ozaki 2013-12-23