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概要

ポストプロセスコード「calB」を用いてバンドのチャーン数とベリー曲率が計算できます。 この計算はFukui-Hatsugai-Suzukiの方法[81,85]に基づいており、 隣接k点のKohn-Sham軌道間の重なり行列要素を用いてチャーン数とベリー曲率が計算されます。 本機能はノンコリニアDFT計算のみに対応しており、コリニアDFT計算では利用可能でないことに注意して下さい。 本機能を用いて発表を行う際には、文献[84]を引用して頂けますと幸いです。

チャーン数は整数値のトポロジカル不変量であり、物質のバンドのトポロジーを特徴づけます。 有限のチャーン数$C$をもつ系では、次式で定義される異常ホール伝導度が誘起されます。

$\displaystyle \sigma_{xy} = -\frac{e^2}{h}C\ (C=1,2,3,\cdots)$      

ベリー曲率 ${\bf F}_{n}=\nabla\times{\bf A}_{n},\ {\bf A}_{n}=-i\langle u_{n{\bf k}}\vert\frac{\partial}{\partial{\bf k}}\vert u_{n{\bf k}}\rangle$ を用いて、チャーン数は次式で定義されます。
$\displaystyle {\displaystyle C = \frac{1}{2\pi}\sum_{n}^{\rm occ.}\int F_{nz}dk^2}$      

Fukui-Hatsugai-Suzuki の方法[81]では、 次式で定義される重なり行列$U$を用います。

$\displaystyle U_{\Delta {\bf k}}({\bf k}) =\det \langle u_{n}({\bf k})\vert u_{m}({\bf k}+\Delta {\bf k})\rangle$      

この重なり行列$U$が 次式で定義されるベリー接続 ${\bf A}({\bf k})$とベリー曲率$F({\bf k})$を計算するための 中心的な役割を担います。
    $\displaystyle {\bf A}({\bf k}) = {\rm Im}\log U_{\Delta {\bf k}}({\bf k}),$  
    $\displaystyle F({\bf k}) = {\rm Im}\log U_{\Delta k_{1}}({\bf k})U_{\Delta k_{2...
...k_{1})U^{-1}_{\Delta k_{1}}({\bf k}+\Delta k_{2})U^{-1}_{\Delta k_{2}}({\bf k})$  


Figure 73: ベリー曲率の計算法、各プラケットにおいて周回積分を実施。
\includegraphics[width=9.0cm]{Chern-Fig1.eps}

図 73に示す様に、 ベリー曲率は第一ブリルアンゾーンに導入された等間隔格子上での各「プラケット」において以下の公式で計算されます。 ここで、プラケットはブリルアンゾーンのメッシュ状に切られた領域を意味します。

$\displaystyle F({\bf k})={\rm Im}\log U_{12}U_{23}U_{34}U_{41}$      

ベリー曲率の周回積分の全ての寄与を総和して、チャーン数が計算されます。

$\displaystyle C = \frac{1}{2\pi}{\displaystyle \sum_{\bf k}^{\rm BZ} F({\bf k})}$