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相互作用によって引き起こされる電荷密度の差の解析

2つの系AとBの間の相互作用によって引き起こされる(スピン)電子密度の再配分は、次の手順によって解析できます。

(i) AとBから成る複合系の計算

AとBから成る複合系に対して、通常の計算を行い、(スピン)電子密度のためのcubeファイルを生成します。 このファイルを「AB.cube」とします。また標準出力から「Grid_Origin」の情報を取得します。 これは一様グリッドを生成する際の原点の$x$$y$$z$成分となります。

       Grid_Origin  xxx  yyy  zzz
この値は次の(ii) と (iii)で議論する計算において使用します。

(ii) 系Aの計算

Aのみを含んだ系の通常の計算を行います。 ただし(i)の計算と同一の単位胞を使用して下さい。また計算条件も同一に設定する必要があります。 また系Aの幾何構造は、計算(i)の場合と同一でなければなりません。 一様グリッドを生成する際の原点の$x$$y$$z$成分も(i)と同一に設定するために、 入力ファイル中に次のキーワードを加えて下さい。
       scf.fixed.grid  xxx  yyy  zzz
ここで、「xxx yyy zzz」は(i)の「Grid_Origin」から取得した座標です。 このようにして、系Aに対するcubeファイルが得られます。これを「A.cube」とします。

(iii) 系Bの計算

(ii)の計算と同様にして、系Bのみの計算もAとBから成る複合系の場合と同じ単位胞を使用し、また同一の計算条件で 実行する必要があります。 また、系Bの幾何構造は(i)の場合と同一でなければなりません。 一様グリッドを生成する際の原点の$x$$y$$z$成分も(i)と同一に設定するために、 入力ファイル中に次のキーワードを加えて下さい。
       scf.fixed.grid  xxx  yyy  zzz
ここで、「xxx yyy zzz」は(i)の「Grid_Origin」から取得した座標です。 このようにして、系Bに対するcubeファイルが得られます。これを「B.cube」とします。

(iv) 2つのコードをコンパイルする

2つのコードを次のようにしてコンパイルします。
      % gcc diff_gcube.c -lm -o diff_gcube
      % gcc add_gcube.c -lm -o add_gcube
(v) (スピン)電子密度の差を解析するためのcubeファイルの作成

まず、次のコマンドで、系AとBの2つの(スピン)電子密度の重ねあわせのcubeファイルを作成します。
      % ./add_gcube A.cube B.cube A_B.cube
  
ファイル「A_B.cube」は2個の孤立系の(スピン)電子密度の重ねあわせのcubeファイルです。 次に、相互作用によって引き起こされる(スピン)電子密度の差のcubeファイルを、次のようにして作成します。
      % ./diff_gcube AB.cube A_B.cube dAB.cube
  
ファイル「dAB.cube」は、相互作用によって引き起こされる(スピン)電子密度の差のcubeファイルであり、 ここで「差」は(AB - A_B)を意味します。