fcc、hcp、bccなどの結晶構造をもつ高密度のバルク系において、多くの基底関数を割り当てた場合には、 基底関数が過完備になる可能性があります。 そのような場合には、数値不安定性のために誤った固有値が生じる可能性が高まります。 この過完備性を避けるために、最適化された少数の基底関数を使用することが推奨されます。 またこの問題を避ける別の方法として、キーワード「scf.ProExpn.VNA」を 「off」に設定することも有効です。
scf.ProExpn.VNA off # on|off, default = onこの場合、実空間の数値グリッドに対するカットオフエネルギを キーワード「scf.energycutoff」によって 大き目に設定する必要があるかもしれません。
複雑な(ノンコリニア)磁気的構造、金属的な電子構造、その両者を合わせ持つ場合、またそれらの特徴を持った大規模系では、 SCFの収束を得ることがかなり困難です。 そのような場合には、電子密度を非常にゆっくりと混合せねばならず、 それは残念ながら、収束解を得るために多くのSCFステップが必要となることを意味します。
分子系のように、相互作用が弱い系では、完全に最適化された構造を得ることは容易でなく、 多数の反復ステップが必要となります。構造最適化のデフォルトの収束条件は最大 Hartree/Bohrですが、 そのような場合には、妥協案として収束条件をから に設定仕直すことも1つの方法です。