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計算精度と計算量は、数値積分およびポアソン方程式の解法で用いられるカットオフエネルギーにも依存します [42]。
カットオフエネルギーはキーワード「scf.energycutoff」により制御されます。
図 5 にカットオフエネルギーに対するメタン分子の全エネルギーの収束の様子を示します。
ここで入力ファイルは「入力ファイル」の章で用いた「Methane.dat」です。
カットオフエネルギーは基底関数に対してではなく、数値積分に対するものであることから、
平面波基底系のようにカットオフエネルギーに応じて全エネルギーが高エネルギー領域から収束していくわけではありません。
ほとんどの場合、150から200 Rydのカットオフエネルギーが最適な選択となります。
しかしながら、300 Ryd以上のカットオフエネルギーを必要とする微妙な問題があることにも注意すべきです。
極小点付近で非常に平坦なポテンシャル形状を計算する場合や、
異なるスピン秩序間の小さなエネルギー差の計算がそのような微妙な問題となる可能性があります。
表 3 に水分子の構造パラメータと双極子モーメントのカットオフエネルギーへの依存性を示します。
入力ファイルは「work」ディレクトリ内の「H2O.dat」です。およそ90 Rydで収束した結果が得られています。
必要なカットオフエネルギー値は元素に依存しますが、多くの場合に200 Ryd程度で収束解が得られるでしょう。
しかしながら御自身の計算対象の系の物理的特性が、どの様にカットオフエネルギーに依存しているのか
チェックされることを推奨します。
もう一方のカットオフエネルギー「1DFFT.EnergyCutoff」に対しては、
通常、デフォルト値として3600 (Ryd)を使用しており、この値で十分に収束しています。またその計算量も
他の部分の計算と比較し、小さなものです。
Figure:
カットオフエネルギーに対するメタン分子の全エネルギーの収束性。
|
Table 3:
カットオフエネルギーに対する水分子の構造パラメータと双極子モーメントの収束性。
入力ファイルは「work」ディレクトリ内の「H2O.dat」。
Ecut(Ryd) |
r(H-O) (Å) |
(H-O-H) (deg) |
Dipole moment (Debye) |
60 |
0.970 |
103.4 |
1.838 |
90 |
0.971 |
103.7 |
1.829 |
120 |
0.971 |
103.7 |
1.832 |
150 |
0.971 |
103.6 |
1.829 |
180 |
0.971 |
103.6 |
1.833 |
Exp. |
0.957 |
104.5 |
1.85 |
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