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最急降下法

構造最適化の例を本章で説明します。初期構造として、「入力ファイル」の章で扱ったメタン分子を取り上げますが、 メタン分子の炭素原子の$x$座標が以下のように0.3 Å に変更されています。
   <Atoms.SpeciesAndCoordinates
     1   C      0.300000    0.000000    0.000000     2.0  2.0 
     2   H     -0.889981   -0.629312    0.000000     0.5  0.5
     3   H      0.000000    0.629312   -0.889981     0.5  0.5
     4   H      0.000000    0.629312    0.889981     0.5  0.5
     5   H      0.889981   -0.629312    0.000000     0.5  0.5
   Atoms.SpeciesAndCoordinates>
次に、キーワード「MD.type」を「Opt」に、キーワード「MD.maxIter」を200に設定します。 「Opt」は可変の前因子を持った最急降下法です。 メタン分子の構造最適化の収束履歴を図 9 (a)に示します。図では構造最適化のステップに対して原子にかかる力の絶対最大値を示しています。最急降下法では収束の状況に応じて前因子を変化させるため、前因子が大きくなりすぎて構造が停留点を越えていることが見て取れます。その後で完全な収束に至っています。 この計算は「work」ディレクトリ内の「Methane2.dat」を使用することにより、再現することができます。 またメタン分子の場合と同様、図 9 (b)に示すようにダイアモンド構造のケイ素に対しても類似した挙動を見ることができます。


Figure 9: (a) メタン分子 と(b) ダイアモンド構造のケイ素の原子の構造最適化における原子にかかる力の絶対最大値。 初期構造は平衡構造から変形されたものを使用。入力ファイルはそれぞれ、「work」ディレクトリ内の「Methane2.dat」および「Si8.dat」。
\includegraphics[width=12.0cm]{GeoOpt1.eps}