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RF及びEF最適化におけるヘシアン行列の初期値

RF及びEF最適化では2種類の初期ヘシアン行列が使用可能であり、以下のように設定します。

   MD.Opt.Init.Hessian        Schlegel      # Schlegel|iden, default=Schlegel
デフォルトの「Schlegel」はSchlegel [66] によって提案された方法であり、結合の伸縮・屈曲・捻りからなる 単純なモデルに基づき初期ヘシアン行列を見積もります(OpenMX Ver.3.9 では結合の伸縮のみを考慮して初期ヘシアン行列を構築します)。 もう1つの「iden」では、ヘシアン行列を単位行列として計算を開始します。 どちらの方法においても、ヘシアン行列は構造最適化ステップごとにBroyden-Fletcher-Goldfarb-Shanno (BFGS) 法 [65] を 用いて更新されます。 構造最適化手法として「BFGS」、「DIIS」を用いた場合には「Schlegel」は使用できないことに注意して下さい。 一般的に「iden」よりも「Schlegel」の方が収束性がよいため、「Schlegel」をデフォルトとして設定しています。 「EF」を用いた最適化における「Schlegel」と「iden」の比較を図 11 に示しましたが、 ほとんどの分子系やバルク系において「Schlegel」の方が少ないステップ数で収束していることが分かります。


Figure 11: 初期ヘシアン行列を「iden」、「Schlegel」とした際の、力の最大値が $3 \times 10^{-4}$ Hartree/Bohrを下回るまでに要した最適化ステップ数 (a) 分子系 (b) バルク系
\includegraphics[width=9.0cm]{Comp_Hess_GeoOpt.eps}