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エンタルピーの最適化

印加された圧力のもとで可変セルの最適化を実行できます。 これは次式のエンタルピー$H$を最小化することでなされます。

$\displaystyle H = E + pV,$     (1)

ここで$E$は単位胞あたりの全エネルギー、$p$は印加された圧力、そして$V$は単位胞の体積です。 エンタルピーの最適化を実行するには 入力ファイルに以下のキーワードを含めるだけです。
   MD.applied.pressure         10.0       # in GPa, default=0
正の圧力はセルの圧縮に対応します。 この機能は キーワード「MD.Type」に指定できる 'OptC1', 'OptC2', 'OptC3', 'OptC4', 'OptC5', 'OptC6', 'OptC7'、さらに'RFC5', 'RFC6', and 'RFC7' と互換性があります。 例として、ディレクトリ'work'内の入力ファイルSi8-pV.datを用いてエンタルピーの最適化を実行できます。 これは10GPa下でのSi結晶の最適化です。 計算後、出力ファイルsi8-pV.outに最適化の履歴が確認できます。

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                History of cell optimization               
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MD_iter   SD_scaling     |Maximum force|   Maximum step        Utot             Enpy           Volume
                         (Hartree/Bohr)        (Ang)         (Hartree)        (Hartree)        (Ang^3)

 1       1.25981732       0.07663140       0.05108760     -32.84057849     -32.47335956     160.10300700
 2       1.25981732       0.06717954       0.04478636     -32.84541333     -32.48138995     158.70978745
 3       1.25981732       0.05879663       0.03919775     -32.84853574     -32.48736913     157.46427382
 4       1.25981732       0.05131728       0.03421152     -32.85047522     -32.49182806     156.36581813
 5       3.14954331       0.04468030       0.07446716     -32.85159836     -32.49515060     155.40690918
 6       3.14954331       0.02956430       0.04927383     -32.85232293     -32.50062291     153.33695214
 7       3.14954331       0.01960389       0.03267316     -32.85158714     -32.50293764     152.00696345
 8       3.14954331       0.01318467       0.02197446     -32.85069024     -32.50392104     151.18717226
 9       7.87385828       0.00909382       0.03789092     -32.84998761     -32.50434789     150.69473500
10       7.87385828       0.00253118       0.00537839     -32.84867882     -32.50470324     149.96919000
11       7.87385828       0.00198428       0.03321825     -32.84877730     -32.50477155     149.98234416
12       7.87385828       0.00271856       0.01866538     -32.84922787     -32.50499775     150.08016284
13       7.87385828       0.00086782       0.00943670     -32.84942256     -32.50507226     150.13256385
14       7.87385828       0.00077020       0.00982293     -32.84949585     -32.50509162     150.15607426
15       7.87385828       0.00020223       0.00270074     -32.84950610     -32.50511244     150.15146767
16       7.87385828       0.00005544       0.00000000     -32.84950546     -32.50511390     150.15055140

全エネルギーの減少よりむしろ体積の収縮によりエンタルピーが実際に最適化されることが確認できます。

さらに、以下のキーワードで直交結晶系において特定の軸のみに圧力をかけることもできます。

   MD.applied.pressure.flag   1 1 1   # default=1 1 1
既定の設定は「1 1 1」で、これはab、そしてc軸に沿って等しく印加された等方的な圧力を意味します。 このキーワードに「1 0 0」を指定すると、 圧力は直方体結晶系のbc面に垂直な方向であるa軸のみに沿って印加されます。 この機能は直方体結晶系に有効です。 この場合は以下のように非零の要素が対角要素となるように 単位ベクトルを与える必要があります。
    <Atoms.UnitVectors
     10.000   0.000   0.000
      0.000   8.000   0.000
      0.000   0.000  11.000
    Atoms.UnitVectors>
直方体結晶系以外では他の格子ベクトルで定義される面に垂直な格子ベクトルに沿った非等方的な圧力を印加することになります。 この状況は六方晶系の例で見られ、このキーワードを以下の様に指定します。
   MD.applied.pressure.flag   0 0 1   # default=1 1 1
    <Atoms.UnitVectors
      6.000   0.000   0.000
     -3.000   5.196   0.000
      0.000   0.000  10.000
    Atoms.UnitVectors>