DFT+汎関数は、軌道占有の自由度に複数の極値を持っており、SCF計算の結果は初期占有数近傍に 存在する局所的な極値に収束することがあります。そのため収束した電子状態は最低エネルギーを持った 基底状態であるとは限りません。 軌道分極を持つ基底状態を見出すために、次のフラグによって軌道分極を明示的に促進することが可能です。
コリニア計算の場合 <Atoms.SpeciesAndCoordinates # Unit=AU 1 Ni 0.0 0.0 0.0 10.0 6.0 on 2 Ni 3.94955 3.94955 0.0 6.0 10.0 on 3 O 3.94955 0.0 0.0 3.0 3.0 on 4 O 3.94955 3.94955 3.94955 3.0 3.0 on Atoms.SpeciesAndCoordinates> ノンコリニア計算の場合 <Atoms.SpeciesAndCoordinates # Unit=AU 1 Ni 0.0 0.0 0.0 10.0 6.0 40.0 10.0 0 on 2 Ni 3.94955 3.94955 0.0 6.0 10.0 40.0 10.0 0 on 3 O 3.94955 0.0 0.0 3.0 3.0 10.0 40.0 0 on 4 O 3.94955 3.94955 3.94955 3.0 3.0 10.0 40.0 0 on Atoms.SpeciesAndCoordinates>軌道分極を促進させる場合には、最後の列で「on」と指定して下さい。通常の計算を行う場合には「off」と指定します。 軌道分極の促進は各原子サイト毎に行われるため、全ての原子に対して「on」もしくは「off」を指定しなければなりません。 指定を明示的に行わない場合には、「off」が設定されます。 「on」の設定がされた場合は、 最初の数回のSCFステップにおいて軌道分極が促進され、それ以降に続くSCFステップでは 通常の計算が行われます。 この取扱いにより軌道分極が促進され、多くの場合で基底状態が得られますが、逆に不安定な方向への 収束を導く可能性もあり、万能な方法ではありません。 詳細は文献 [20]を参照してください。 また
scf.dc.Type=cFLL
とcAMF
を使用する際には軌道分極のフラグの使用は推奨されません。