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Tersoff-Hamann法によるSTMイメージ

Tersoff-Hamann法 [71]によって走査型トンネル顕微鏡(STM)のイメージを計算することができます。 この方法は、化学ポテンシャルから計ったエネルギーウィンド内の部分電荷密度の計算に他なりません。 部分電荷密度は次のキーワードを使って計算します。

   partial.charge                 on       # on|off, default=off
   partial.charge.energy.window   0.0      # in eV
ここで、二番目のキーワードにより化学ポテンシャル(プラスの値は伝導帯を、マイナスは価電子帯を意味します)から計った エネルギーウィンドウ(eV単位)を指定します。 部分電荷密度の計算は状態密度(DOS)の計算の際に実行されますので、次のキーワード も指定する必要があります。
  Dos.fileout                  on        # on|off, default=off
  Dos.Erange              -20.0  20.0    # default = -20 20
  Dos.Kgrid                  5 5 5       # default = Kgrid1 Kgrid2 Kgrid3
計算が正常に終了すれば、Tersoff-Hamann近似の範疇でSTMシミュレーションに利用できる「System.Name.pden.cube」が生成されます。 例として、本手法によって得られたグラフェン層のSTM像を図 59 に示します。


Figure 59: Tersoff-Hamann近似によるグラフェン層のSTM像。 計算では「partial.charge.energy.window」に2eVに設定。 入力ファイルはディレクトリ「work」中の「Graphene_STM.dat」。 ソフトウェアWSxM [153]を使い、cubeファイル「Graphene_STM.pden.cube」を等値面値0.0001で可視化。
\includegraphics[width=9.0cm]{STM1.eps}