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OpenMXは一粒子Kohn-Sham波動関数を展開するために数値擬原子軌道(PAOs)
を基底関数として使用します。
PAO関数は動径関数
と実球面調和関数
との積として次式で与えられます。
この動径関数
は数値の表として与えられ、実空間のカットオフ半径内で有限な関数です。つまり関数
は所定のカットオフ半径を超えるとゼロになります。
ADPACKにより計算されたPAO関数はプリミティブ関数と呼ばれます。このプリミティブPAO関数を出発点として、OpenMXの軌道最適化法を用いて
最適化されたPAO関数を得ることが可能です [41]。これらの基底関数に関するデータはファイル拡張子「pao」を持ったファイルに保存されています。
OpenMXの計算が実行される際には、これらのファイルに保存されている数値データが読み込まれています。任意の動径距離
に対するPAO関数の値は補間法により
得られます。ファイル拡張子「pao」を持ったファイルは、例えば「DFT_DATA19/PAO」などのディレクトリに保存して下さい。このディレクトリは以下のキーワードにより
指定します。ただしディレクトリ名中に「PAO」を含める必要はありません。
DATA.PATH ../DFT_DATA19 # default=../DFT_DATA19
絶対および相対パスの指定が可能であり、デフォルトは「../DFT_DATA19」となっています。
OpenMXの入力ファイルにおいて、基底関数は以下のように「Definition.of.Atomic.Species」キーワードにより
指定されます。
<Definition.of.Atomic.Species
H H5.0-s2p1 H_PBE19
C C5.0-s2p1 C_PBE19
Definition.of.Atomic.Species>
ここで基底関数の略語記号、H5.0-s2p1を導入します。H5.0はPAO関数の拡張子なしのファイル名を表します。
このファイルはキーワード「DATA.PATH」により指定された「DFT_DATA19/PAO」などのディレクトリに存在しなければなりません。
5.0はPAO関数のカットオフ半径を意味します。またs2p1は指定されたファイル中での二つの動径関数と一つの動径関数が
-軌道、
-軌道にそれぞれ割り当てられることを意味します。
この場合、合計5つのPAO基底関数(2
1+1
3=5)が「H」に対して割り当てられます。
OpenMXのWebサイト(http://www.openmx-square.org/)では最適化基底関数のデータベースVer. 2019が無償公開されています。
従って一般のユーザーはこれらの最適化された基底関数を使用することが推奨されます。
しかし上級者のために、プリミティブおよび最適化PAO関数について、続く節で説明します。