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従来型擬ポテンシャル

OpenMXでは、原子核のクーロンポテンシャルは、Morrison、Bylander、Kleinmanにより提案された ノルム保存擬ポテンシャル[36]で置き換えられます。 これはVanderbiltによるウルトラソフト擬ポテンシャル[37]のノルム保存型となっています。 擬ポテンシャルは、ADPACKを使用して生成できますが、ユーザーの利便性のために、擬ポテンシャルのデータベースVer. 2019が OpenMXのwebサイトで公開されています (ADPACKは原子の密度関数計算を行うためプログラムパッケージであり、OpenMXのwebサイト で入手可能です)。 データベースに保存されている擬ポテンシャルを使用する場合には、それらをディレクトリ「openmx3.9/DFT_DATA19/VPS/」にコピーして下さい。 ただし、ほとんどのデータは既にOpenMX Ver. 3.9.の配布パッケージ内にコピー済みです。 これらのデータは自由に利用することが可能ですが、利用に伴う損害・不利益等については一切責任を負いかねますので、 あらかじめご了承下さい。 擬ポテンシャルの指定は、基底関数の指定と同様にキーワード「Definition.of.Atomic.Species」 で行います。例えば次の様にして指定できます。

   <Definition.of.Atomic.Species
     H   H6.0-s2p1        H_CA19
     C   C6.0-s2p2        C_CA19
   Definition.of.Atomic.Species>

擬ポテンシャルのファイルは第3列で指定され、またそのファイルはディレクトリ「DFT_DATA19/VPS」に存在する必要があります。 さらに原子座標の指定の際、各原子のアップおよびダウンスピン状態に対する電子数の指定を以下のように行うことが必要です。

   <Atoms.SpeciesAndCoordinates
     1   C      0.000000    0.000000    0.000000     2.0  2.0 
     2   H     -0.889981   -0.629312    0.000000     0.5  0.5
     3   H      0.000000    0.629312   -0.889981     0.5  0.5
     4   H      0.000000    0.629312    0.889981     0.5  0.5
     5   H      0.889981   -0.629312    0.000000     0.5  0.5
   Atoms.SpeciesAndCoordinates>
ここで第6、7列は各原子のそれぞれアップおよびダウンスピン状態に対する初期電子数を与えます。 原子に対するアップおよびダウン電子数の合計は、擬ポテンシャルの生成時に考慮される価電子の数と 等価でなければなりません。 それぞれの擬ポテンシャルに含まれている荷電子数は擬ポテンシャルファイル「*.vps」の中から見つけることができます。 例えば、データベースVer. 2019内の炭素原子のファイル「C_PBE19.vps」の中に次の行があります。
    valence.electron            4.0
数字「4.0」は擬ポテンシャルの生成で考慮される電子数です。 従って上記の例では、アップスピン電子数(2.0)およびダウンスピン電子数(2.0)の合計は 「Atoms.SpeciesAndCoordinates」で指定する「C」に対して4.0となります。 表12にはデータベースVer. 2019内で提供される擬ポテンシャルの価電子数も示されていますので、参考にして下さい。

ユーザー自身でADPACKを使用して擬ポテンシャルを作成する場合には、以下の点に注意する必要があります。

さらなる詳細はプログラムパッケージ「ADPACK」のマニュアルを参照して下さい。 ただし、高精度な擬ポテンシャルを作成するには、最初に考える以上に多くの経験が必要になることを明記しておきます。