分子や結晶のKohn-Sham軌道をGaussian cube形式で出力できます。 Gaussian cube形式は広く用いられるデータ形式であるため、VESTA [103] や XCrySDen [105]などの多くのソフトウェア を用いてKohn-Sham軌道を可視化することが出来ます。関連するキーワードは以下で与えられます。
MO.fileout on # on|off, default=off num.HOMOs 1 # default=2 num.LUMOs 1 # default=2 MO.Nkpoint 2 # default=1 <MO.kpoint 0.0 0.0 0.0 0.5 0.0 0.0 MO.kpoint>cubeファイルを生成する際にはキーワード「MO.fileout」を「ON」として下さい。 出力する最高占有の分子あるいは結晶の軌道(HOMO)の数と 最低非占有の分子あるいは結晶の軌道(LUMO)の数は キーワード「num.HOMOs」と「num.LUMOs」でそれぞれ指定できます。 バンド計算ではHOMOとLUMOを計算するk点を キーワード「MO.Nkpoint」と「MO.kpoint」で指定します。 キーワード「MO.Nkpoint」はHOMOとLUMOを計算するk点の数を与えます。 キーワード「MO.kpoint」によって上に示したようにk点を露わに指定できます。 k点は「Atoms.UnitVectors」で与えられた単位セルベクトルの逆格子ベクトルに基づいて指定されます。 出力されるcubeファイルは以下のとおり要約されます。
クラスターの場合:
「MO.fileout=ON」かつ「scf.EigenvalueSolver=Cluster」ならば 以下のファイルが生成されます。
HOMOがGaussian cube 形式で出力されます。 「homo」の下の最初の数字はスピン状態を表します(up=0, down=1)。 二番目の数字は固有状態を表します。すなわち、0, 1, 2 がそれぞれ HOMO, HOMO-1, HOMO-2 に対応します。 この総数はキーワード「num.HOMOs」で指定されます。
LUMOがGaussian cube 形式で出力されます。 「lumo」の下の最初の数字はスピン状態を表します(up=0, down=1)。 二番目の数字は固有状態を表します。すなわち、0, 1, 2 がそれぞれ LUMO, LUMO+1, LUMO+2 に対応します。 この総数はキーワード「num.LUMOs」で指定されます。
バルクの場合:
「MO.fileout=ON」かつ「scf.EigenvalueSolver=Band」ならば 以下のファイルが生成されます。
HOMOがGaussian cube 形式で出力されます。 「homo」の下の最初の数字はk点を意味し、このk点はキーワード「MO.kpoint」で指定されます。 二番目の数字はスピン状態を表します(up=0, down=1)。 三番目の数字は固有状態を表します。すなわち、0, 1, 2 がそれぞれ HOMO, HOMO-1, HOMO-2 に対応します。 この総数はキーワード「num.HOMOs」で指定されます。 rとiは波動関数の実部と虚部を表します。
LUMOがGaussian cube 形式で出力されます。 「lumo」の下の最初の数字はk点を意味し、このk点はキーワード「MO.kpoint」で指定されます。 二番目の数字はスピン状態を表します(up=0, down=1)。 三番目の数字は固有状態を表します。すなわち、0, 1, 2 がそれぞれ LUMO, LUMO+1, LUMO+2 に対応します。 この総数はキーワード「num.LUMOs」で指定されます。 rとiは波動関数の実部と虚部と表します。
例としてvalorphin分子のHOMOとLUMOを図 31に示します。
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